レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

 以前、某図書館でビブリオバトルが開催された際に、バトラーの一人がこの本を紹介して初めてレンタルなんもしない人を知った。その後、どこかのテレビ局でレンタルなんもしない人を採り上げた番組を放送していて、この本に興味を持った。
 妻子のいる男性で、自分はなんもしないことを条件に、依頼者の依頼につきあうといった活動をしている。国分寺駅からの交通費は依頼者からもらうことになっているが、基本的に報酬は発生しない。
 「一人で外食をするのが嫌で食事に付き添ってほしい」や「自分の話を単に聴いてほしい」などの様々な依頼がTwitterのダイレクトメールに寄せられて、危険そうな依頼で日程的に可能であれば受けているらしい。
 この本では、レンタルなんもしない人がかかわった依頼者との体験について時系列で日記のようなかんじで書かれている。仕事という位置づけではないのでレンタルなんもしない人が気乗りしなければ、依頼は受けない。沢山の人が依頼してきているようだった。
 なんもしないということを依頼者は承諾した上で依頼をしているので過度な期待をしていない。逆に基本的に交通費のみで自分の用事に付き添ってくれるということでレンタルなんもしない人にありがたいという気持ちが生まれるのだと思った。
 それにしても一人で何か物事をするということに困難さを持っている人が非常に多い。勉強を一人ですると、集中力がすぐ切れてつい遊んでしまうが、他人が近くにいると緊張感が出てきて集中力が持続して勉強が捗る。その他人の役割をレンタルなんもしない人が担っている。
 友人や家族に言えないことを告白したり、ある文言を依頼者に言ってほしいとか、色んな利用法があることを知った。
 この本を読むと、毎日に近い頻度で依頼があり、リピーターもいるのだろうが、全く知らない人にそれぞれ異なる付き添いや依頼をしているのでコニュニケーションの高い方ではないかと思った。ストレスを感じていたらこんな活動はできないだろうし、自分の場合は、絶対できない。
 文章のなかで「触媒」という言葉が使われていたのだが言葉の使い方が化学の使い方だったので、レンタルなんもしない人は理系の方ではないかと推測していたら、奥付に経歴として理系大学院卒業で数学の教材執筆に従事していたとの記述があり、納得した。
 この活動で家族を養えるほどの収入があるのか気になるところであるが、本も何冊か出版されていて、メディアでも採り上げられて認知度が上がっているので、大丈夫なのだろう。
 数年後にどうなっているのか気になる。

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晶文社
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